接近から流します

右から左に流す日々

大卒も高卒も煽りがウザいのでどっちが無謬というわけでもないという話。

 私は高校卒業してすぐに夜学に入学して仕事を始めている。従って、感覚的には高卒でもあるし、大卒でもあるという不思議なものだ。

 そうであるから、大卒の高卒に対する見下しに似た侮辱も受けたこともあるし、高卒でそのまま仕事についた人間が大卒で入ってきた人間に対してする侮辱的な言動のどちらも受けたことがある。

 前者は「勉強ができないから夜学にしか行けなかったんだろう」的なニュアンスで人の人生についてあれこれ言ってくるのが相当にウザかったし、後者については「大学出てるのにこんなこともわからないのか」的な「いやお前の言ってることはそもそもちゃんと教育されなきゃわからねえだろ。研修を何のためにやると思ってんだ」と思えることがしばしばあった。

 大卒の人間が「高卒」やそれに準じる学歴と見做されているものを侮辱することは、しばしばツイッターなどでも批判されている。最近見かけたものだと、高卒でそのまま自衛官になったアカウントに対して、「防衛大行けなかった高卒www」的な非常に愚劣な煽りを見かけたところだった。私自身は、こういう風に人を学歴でしか判断できない人間は大学の講義で何も学んでこなかった無教養だと思っているし、学歴を強調するシグナリングやマウントにほとほと嫌気がさす。そもそも大学というのは学問をしたい人が学問をする場所であるべきで、くだらないマウントやシグナリングにしか用いられない無能が大学に通うべきではないと思っている。また、私は大卒の給料が高卒よりも高く設定されているのはくだらないと思っている。とある職場で働いていた時期をを除き、私は大卒規定で給料などもらったこともない上に、教師や弁護士や医者や公認会計士など、大学で学んできた専門的な知識を活かす環境の職場でもないなら、殆どの大卒は高卒と同水準の技能しかないからだ。これについてはブライアン・カプランの以下の本も参考になるだろう。

 

 

 一方、私は高卒上がりが言い出す「大卒のくせにこの程度のこともわからないのか」的な煽りも相当にウザいと思っている。この連中は大概は自分が入社してきた頃のことを完全に忘却しているとしか思えないからだ。大概の人間は最初から仕事ができるわけではない。研修がいい加減な人間の得意文句といえば「考えればわかるだろ」だが、体系的な仕事の知識が身についていない段階で考えたら間違ったことを仕出かすことくらい「考えなくとも」わかるはずだ。

 私の経験上の話だが、中小企業は特に教育における初期投資を怠る事が多い。マニュアルもなく、研修も適当。それでいて教えてもいないことについて怒り始める無能な人間が極めて多い。それで人の学歴や職歴を指差して「~の割には使えねえな」と言い始めるわけだ。私はこういうことを言われることがしばしばあったので、「じゃあ、あなたは算数の九九や国語の読解をどうやって学び取ったんですか?」と訊いたり、「あなたはママ・パパからパンツの穿き方を教わらずに自力でできたんですか?」と煽り返すことにしている。

 とにかく大卒にせよ高卒にせよ、人の学歴や職歴を指差して煽る人間は大概はろくでなしだ。どっちの方がマシということではない。結局のところ、互いに礼節を保てる人間が学歴に関係なく素晴らしいという話だ。だが、そういう風に互いに礼節を保てる関係というのは稀であり、多くの人はきっとあなたに多くのマウントを仕掛けてくることだろう。何れにしても、そういう人間に出会ったときは徹底的に言い返すことが必要で、舐めさせないことが最も重要である。人間も動物であり、動物と同様に我々はマウントを取り合う動物である。であるからこそ、マウントを仕掛けられたらカウンターを仕掛け、適度にキレることも必要となるのである。上手に怒って上手に撃退しよう。私自身も今年はもっと賢くキレることを目指していきたいと思う。

 

 

あなたの怒りは武器になる (河出新書)

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  • 作者:安藤俊介
  • 発売日: 2020/10/21
  • メディア: 単行本
 

 

 

キレる!(小学館新書)

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